理事長からのメッセージ

2022年03月16日
 晩秋に大空を南の方向に群れをなして向かっていった渡り鳥が、再び鳴き声を天空に響かせて戻ってきたようです。白鳥だけが群れをつくらず、二羽にのつがいだけで我が家の上空を優雅に低空で横切ってゆきました。茂みの中から飛び出す今春生まれたばかりの子ウサギ。自然の摂理に調和された万物の生命。人間だけが背を向けてコロナとの戦いから、武器を手のした戦いへと悪夢が続いてます。「一将功成りて万骨枯る」それが戦争の素顔です。それでも北風はマントを脱がすことはできない。
 世界に広がる反戦デモのうねりが、ロシア封じ込めの行動とあいまって世界を覆うこと、早くウクライナのこどもたちに屈託のない笑顔が取り戻せる日がくれば良いです。
 そして、幼稚園も一年が終わりました。大人たちが作り上げた社会が、いたるところでほころびを見せています。子供たちは自分で芽吹く力をいつまでも持ち続けてくれるだろうか?この園で野生児のように育っただろうか?頼もしい野生の小動物のままで未来を切り開いて欲しい。そして、誰にでも好かれる人間になってほしい。だれにでも好かれる人間になること以外に、幸せになる生き方はないのです。偏差値などの悪魔の呪文から逃れて、自分の好きなことを夢中に追える生き方。おとなたちが引いたレールの上からどんどん逸脱して、自分の軌跡を描いて欲しいです。そして孤独を感じたら「友情」。「おれとこいつ、幼稚園時代からの友達なんだよなあ」なんて言えたらこれは最高の人生の宝を得たようなもの。
ドイツ歌曲にも歌われる、一年で最も美しい季節の到来。恵まれた自然の四季折々の体験を丹念に織り込む保育理念,こどもたちが自然から多くのものを学んでほしいのです。


デュッセルドルフ日本人幼稚園理事長 大庭康治